忘れられないご夫婦

自慢ではないが、割と旅に慣れている方だと思う。初めてバックパッカーしたのは大学生の頃。マレーシアではショルダーバックとサンダルで1週間ほど旅をした。スペインではすべての荷物をバックパックで背負って、100km歩く旅などもした。いずれも最高。いい思い出。

最近は、1泊ならば普段遣いのリュック、2泊以上なら普段遣いのリュック+トートバックでだいたい事足りる。特にプライベートな旅では荷物は小さく、ホステルに泊まれるくらい……というのを意識している。

とにかく荷物が少なくて身軽ならば、ちょっとした急な予定、食べたいもの、行きたい場所、そのまま宿に戻らなくても向かえる。思えば、私のミニマリズムのスタート地点は旅だ。

確か、あれは大学時代に旅をしたバンコクのゲストハウスだった。到着後、ロビーでくつろいでいると、ヨーロッパから来たという60代くらいのご夫婦が受付にやってきた。こんがりと日焼けしていて、荷物も小さい。聞くと、世界を自転車で旅をして、いろんなホステルやゲストハウスに泊まっているのだという。

衝撃だった。私にとって、ゲストハウスは若い間だけ泊まれる場所で、年をとったらホテルに泊まるのが当たり前だと思っていた。でも、人との出会いや交流を目的にした自転車での旅はゲストハウスのほうが何かと都合がいいらしい。確かに、そのとおりだ〜!

もちろん、やりたいことに合わせて宿やツアーを選べばいい。でも、年齢という要素に意思決定が引きずられてしまうこともある。なんか、もっとその辺から開放されてもいいのかもな。

あの出会いで、私の中でいつまでもゲストハウスに泊まれるくらい、健康で身軽でオープンマインドでいたいという目標ができた。定期的に、あのご夫婦のことを思い出す。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ