少し前、怒っているときがめちゃくちゃ怖い……みたいなことを関東出身者に言われた。しかも、その場面で私はそこまで怒っている感覚もなく、通常会話だけどちょっと厳しい内容を話しているだけのつもりだったので、「え、そんなに?」と思っていた。
しかし先日、読んだある本に愛知の人は共通語のつもりで、いつのまにか微妙に方言を話していて、しかもイントネーションが強いという話が載っていた。Wikipediaにはこんな感じで書かれている。確かに、この「なに(↑)い(↓)」あたりは、使っている自覚がある。
イントネーション
共通語より強い。疑問文の最後の音節が伸ばされ、その伸ばされた音節の前半が高く、後半が低く発音されることがある。なにい(何?)
名古屋弁
どこええ(どこへ?)
私はもともと愛知県育ちで、バリバリの尾張弁環境で20代前半までを過ごした。「尾張」は愛知県西部エリアのことで、まあまあ汚い言葉遣いなのだと地元にいるときから聞いていた。
東京に出てきてから、方言を指摘されることはほとんどない。普段、意識して共通語を話しているわけではないが、尾張弁は関西弁のようには目立たないらしい。だから、普段は同じ共通語話者だと思われている。
そういう相手だからこそ、急に微妙にこういう知らない言葉を混ぜてくるからより迫力があるのかもしれない。(それとは別に、普段からできるだけ穏やかに話そうという心がけはしているので、ギャップにびっくり説もあるけど……)
問題は、話し手である私自身も意識せずに、迫力を上乗せしているところである。よくわからないたとえですが、正々堂々素手で殴り合っているつもりが、知らないうちにメリケンサックつけて必要以上に相手を傷つけているみたいなことになっているとしたら、申し訳ない。
とはいえ、こちらも生まれついて話している言語なので、とっさに出さないのは不可能だろう。たとえば、「これは方言なんだよ〜」と事前に開示したとして、相手のショックを緩和できるのかは正直よくわからない。
でも、「共通語しか使われないだろう」というのは、関東圏出身者の思い込みである。方言も、ある意味で言葉の多様性。相互理解をふわっと深めていく機会なのかもしれない。