身体・思考・感情

肉体労働から、頭脳労働へ。

経済の中心が農業などの第一次産業から、サービス業中心の第三次産業へ移っていく時、そんなふうに労働者に期待されることも変化してきた。

しかし、この時代に働いていると、いわゆる「思考」とは全く違う「頭脳」の使い方をしながらする仕事が多いと感じる。そこで使うのが、「感情」だ。

誰かに何かを伝えるとき、どうしたらちゃんと相手に伝わるのか。SNSで炎上させないためにはどうすればいいのか。私の従事するコンテンツ業界では頻繁にこの能力を使う。他業界なら、誰かをマネジメントする立場やリーダーなどの中間管理職でも当てはまるだろう。

そして、この感情にも身体のエネルギーである体力のようなものがある。「思考体力」という言葉があるので、仮に「感情体力」と呼ぶとしよう。感情体力は、例えばひどいことを言われると目減りするし、褒められると回復する。感情体力がたくさんあれば人に優しくできるし、なければイヤミを言ったり、厳しいことを言ってしまうこともある。

身体と同じで、感情値にも個人差があり、もともとの能力が高い人でも病にかかると最大値が低下することもあるだろう。実は身体の健康とも深く関わっていて、身体・思考・感情は3つの歯車のように同時に動いている感じすらある。

仕事において重要なことの1つは、相手のリソースを無駄に消費しないことだ。リソースには、時間だけでなく、体力、思考体力、感情体力も入る。だから、電話や無駄な会議、過剰な作業依頼で人の時間を奪うのがよくない。これはかなり共通の認識になってきた。

同様に、相手を無駄に傷つけて感情体力を奪うのも、やっぱりやってはいけないことだ。そのためには、自分の感情体力をいつもある程度の値までは回復させておくことが大切なのだ。余裕がないとき、人は人から奪う。自分の行動も振り返りつつ、それを肝に銘じておきたい。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ