居心地のいい場所を、眺める

自宅で、少しでも居心地良く過ごしたい。だからこそ、いろいろと片付けをしたり、気に入ったものを飾る。私も家の中で居心地のよく読書できるゾーンを新たに作りたくて、先日から家具の配置について再考している。

しかし、全く思いつかない。作るとしたら、窓際に日向ぼっこスペースをつくりたいのだが、今の部屋は必要な要素をあまりにもうまく詰め込んでいて、電源や窓の位置、家具・家電同士の連携……などを考えると、どうしても今の配置がベストで何を動かしても、「読書スペースの確保」以上に失われるものが大きくなってしまう。

悩んだ結果、動かすことは諦めた。代わりに、窓辺の居心地よい空間を眺められる位置に座ってみた。すると、これがすごくいい。きれいに差し込んだ日の光、暖かさ、植物やインテリア。自分の部屋が一番美しく見える角度だ。あまり借景の美しい家ではないのだが、この内装は私にとって一つのビュースポットだったらしい。

これに気がついたことで、あまりインテリアのことを考えなくてよくなった。なんで、こんな簡単なことに気づかなかったのか。居心地がいい空間は、その中にいるだけではなく、眺めるだけでも意味があったのだ。

◎今日のインプット
・ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ(映画)

・WW2の間に、ナチスが強制的に手に入れた美術品がかなりある。
・しかも、その大半は見つかっていない。2010年にも、大量に発見されている。
・ユダヤ系の画商は、出国ビザを手に入れるために二束三文でも美術品を売ってしまう
・しかし、一度美術品を手放すと、もとの持ち主であったことを証明するのは難しい
・アメリカに渡った移民で、孫の代になって訴訟で美術品を取り返した例もある
・戦時中は、「モニュメンツ・マン」と呼ばれる、連合軍の芸術家専門部隊もいた
・そう行った事情から、ヨーロッパではWW2前後の美術品の所有歴は非常に重要
・また、こういった理由で芸術の中心がパリ→NYへ移動
・画商の中には、保身のためにヒトラーに協力するケースもあった
・映画の最後で、すべての関係者を調べたが「純粋な悪はいなかった」と述べられている

私でも名前を知っているようなアートたちがたどった運命について。政治と芸術の位置付けは、独立したり、反発したり、利用されたり、利用したりと複雑だ……。でも、できる限りいい形でもとの持ち主のもとに戻ってほしい。

あと、自分の好きなアートが常に信念に一致しているとは限らないよな、と思ったら、ナチスですらそうだったらしい。「退廃的」と断罪した芸術を収集していた人もいるらしいので……。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ