寂しさとの付き合い方を「視覚」から見直した話

3度目の緊急事態宣言が出て、時間がしばらく経ちました。お仕事やお住まいの場所によって差はあれど、おそらく普段よりも、友人と会う行動などを控えている方が多いことでしょう。

ちょうど1年前の今ごろは、初めての緊急事態宣言が解除されたころ。思い起こせば、2020年4〜5月はすごく気持ちが落ち込んで大変でした。

世の中が良くない方向へ進んでいく実感、これからの生活に何が起こるのかわからない不安……。世の中全体も初めての出来事に本当にピリピリしていましたね。

そんななか、私が感じたネガティブな感情の一つは、人と会えないことから生まれた「世界から切り離されたような寂しさ」でした。

そのときに支えになったことの一つが、「パートナーや友人、家族とのツーショットをインテリアにすること」でした。

私はもともと、Netflixで配信されている『クィア・アイ』のインテリアパートや近藤麻理恵さんのお片付け番組が好きなんです。特にその2つの番組は、アメリカの巨大な家を片付けたり、リノベーションしたりすることがほとんど。そこで頻出するインテリアが「大切な人」の写真でした。

それで、緊急事態宣言で「強い寂しさ」を感じたとき、解決方法として思いついたのが、「大切な人の写真を貼ること」でした。

個人的にはもともと、写真を貼る文化があまりなかったので、「どうなのかな……、照れるかな……」と思ったのですが、貼ってみたらすごく良かったのです。

毎日見えるところに貼ったことで、「今は会えなくても、その人達は世界にいる」「大切に思う気持ちがある」「きっと私のことも大切にしてくれる」と無根拠に信じられるようになりました。

また、不思議なことに、写真で飾った人たちはコロナになってからも、連絡を取る心理的なハードルがぐっと下がったんです。プライベートはとっても筆無精な私ですが……。単純接触効果? 笑顔だから? いずれにせよ、外国の友人の安否も心配だったので、連絡をふいにとれてよかったです。

もしかしたら、私が写真を貼っていると知ったら照れるお友達もいるかもしれませんが、私だけしか見ない場所なので、どうか許してほしい(笑)。みなさんが、私にとって大切な人なので!

また、日本の白い壁中心のインテリアになじませるコツは、
・「大切な人たち」のいい表情の写真を選ぶ
・部屋に合わせたトーンにする(私の場合はモノクロに。セピアもいいかも)
・毎日見るけど、インテリアのメインにはならない場所に設置する(ドアの対角線以外がオススメ)
と思っています。あと、枚数は3の倍数でおしゃれに貼るようにしてみました。

こんな小さな工夫をしながら、精神を落ち着かせて1年が経ちました。人の身体が食べたものからできるように、こころは見たもの、聞いたもの、読んだものなどからできるんだな、と痛感しています。今は、またみなさんと再開して笑顔の写真を撮る日が楽しみです。

なかなかワクチンも回ってこず、世界の様子を聞くとヤキモキするこの頃。とはいえ、与えられた箱から意外と出られないのが人生。いまは、自分の人生に新しいゲームルールが組み込まれたなぁ、くらいに捉えています。もちろん、煩わしいし、一刻も早く解決してほしいのですが……。

現状を変える選択肢があまりないからこそ、いまいるこの場所でできる「ベター」を淡々と選んでいこうと思います。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ