【読書メモ】『まじめの罠』(勝間和代)で我が身を振り返る

最近、勝間和代さんのYouTubeを見るのにはまっています。家事や仕事、ライフハック、健康についても情報発信をされているのですが、物事を大局観+合理的にとらえて、長期的なコストを考えてツールを入れてタスクを効率化していくのは、見ていてすごく気持ちがよくて……(笑)。

しかも、その目的は「つよつよなキャリアを築くため!」ではなく、「自分が楽に、そして楽しく生きたい」という肩の力が抜けた感じになっているのが、すご〜くよくて(あと猫ちゃんがかわいい〜)。

合理性と肩の力が抜くことの両立を目指すところに共通点を感じ、書籍も手に取ることにしました。

その一つが、『まじめの罠』(光文社新書)という本。実は2011年発売の本なのですが、書かれていることは今のコロナ禍でも結構ピンとくることが多く、長年、まじめと言われていた私個人にも刺さることが多かったので、メモとしてまとめてみます。

「まじめの罠」がうみだす「祭り上げ」と「神殺し」

この本では「まじめ」を否定していません。まじめであることは、社会の秩序がよく保ち、気持ちよく暮らすことができて、犯罪発生率は下がって、長寿社会、質の高い衛生環境やサービスレベル、料理の質の向上にも繋がる。

ただ、「まじめの罠」という状態に落ちてしまううまくいかない。これを一言で表すと、真面目であるがゆえに「与えられた課題設定に疑いを持たない人」「与えられたものに対して逆らわない人」になってしまうということ。

そうなると、責任回避&相互依存の関係という社会の眼差しを持つようになる。つまり、「お上は絶対に間違わない」という幻想を持ってしたがって、もし間違えたら徹底的に叩くという構図。お上に対して幻想を持つ理由は、「自分で判断をしたくないから」。

本書では、祭り上げと神殺しという言葉が使われています。ネットをみていると、神殺しの瞬間をよくみますが、そこに行くまでには静かに祭り上げがされているんですね……。

「誰もが完璧ではない」という事実

日本では、目立つ人や上に立つ人ってびっくりするほど、完璧で人格者であることが求められています。そうすると間違うことが許されなくなり、完璧主義が求められ、PDCAが回らず、改善されない。結果、隠蔽体質や上層部の全能感に繋がってしまう……。

海外旅行と歴史が好きなのでよく感じるのですが、公共交通機関ですら時間通りに動いていることはほとんどないんですよね。つまり、残念ながら「完璧なお上なんて存在しない」。

だからこそ、「こういうふうであってほしい」という理想や不満を表明するのは大切。そうしたら、変化が起きる可能性はある。

ただし、「必ず完璧に思うように助けてもらえる」「すべてを与えてくれる」わけじゃない。だって、結局できることに限界がある。

少なくとも「どうしてできないのか?」をきちんとデータを元に対話してほしいですが……。

さらに、相手も人間である以上は、PDCAを回して変化できるならば、寛容にならないと「未来のリーダー」は出てこないのでは?とも感じます。

結局、「お上」ではない自分が政治に対してもつべき姿勢は、ちゃんと政治家のやることを見て、自分で考えて、間違っていると思ったら非難をすること。そして、改善をしていけるなら寛容であることだと考えています。

「状況には声を上げる」と同時に、完璧が期待できないことを前提にして「現状の中で、よりよいやり方を見つけて乗り越える」を両軸で考えるのが自分のスタンスです。

反対に仕事の場面では、自分が「お上(=権力者)」の立場を担うタイミングもあるので、精一杯の努力をして、気を引き締めてかからねば。でも、「自分は完璧な人間ではないので、間違っていたら教えてください」と真摯な姿勢を見せたい。

後半では、「まじめな人ほど上や下などの立場を気にしてしまう」という指摘もありました。制度に従っているからですね。特に私が気になったのは、「新卒は〜をするもの」などの年齢に対する価値観。ある程度、「若い人はこういうもの」と固定された価値観の組織にいた自覚があるので、これは気をつけないと……。

たまには自分の「まじめさ」を振り返る

本書の中で勝間さんが自身、中学受験や公認会計士会計士の試験を「まじめではない方法」でうまくこなした経験を例に出していたのですが、私も大学受験のときに全く同じように時間ではなく効率を武器に乗り越えた成功経験があります。

私は長年「まじめ」と周りから呼ばれていたのですが、高校生の頃からさっぱりうまくいかなくなり、まじめであるがゆえに勉強も人間関係も立ち行かなくなった時期がありました。

けれど、大学には行きたかった。その結果、圧倒的に時間もお金も実力なく、限られた数のゴール(国公立・自宅から通える)から選ばないといけない環境からスタートすることになりました。必然的に、「工夫」を自分の味方にするしかなかった。

だから、まずはゴールを慎重に選び、ゴールを達成する最短ルートをひたすら考えて、自分が楽に続けられる方法を探したんですよね。幸いにも合格できたこともあり、自分の中では1つの成功体験になりました。

大学受験をきっかけに、「工夫・効率化」が自分の価値観の中心に置き換わっていったのだな〜、と改めて整理できました。いい方向性。これからも継続しよう。

最後に、本書より自分が「まじめの罠」に陥っているかも!と思ったときのソリューションを紹介します。

1、失敗を恐れるな
2、問題設定そのものを疑え
3、動物的な勘や身体感覚を養え
4、独立した経済力を持て
5、自分のまじめさや常識を疑え
6、正しい自己認識を持て

とにかく枠組みは自分で作る、常に別解を探す。「まじめの罠」から抜け出すと、労働時間が短くなる、お金が儲かる、人を非難しなくなる、人生に満足するようになるそうです。

そして、元来の気質は「まじめ」だという自覚のある私。「あ、まじめの罠に陥ってるかも!」と思ったら、この6つを見直してみようと思います。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ