グレーのかごがやってきた

職業柄、本はよく読む。資料として取り寄せることも多い。はっきりいうと、その量はすごく多い。気を抜くと部屋の中に散逸してしまい、散らかりの元になる。

今までは一時的にそうやって取り寄せた本は、ブックエンドをつかって立てていたのだが、取り出すたびに倒れてしまうことも多く、いまひとつ気に入っていなかった。

そこで今回、熟慮の末に手に入れたのが、かごである。かわいいかごに本を立てかけておけば動かすのも簡単だし、量を不安すぎないストッパーにもなる。インテリアとしても良い。

私は今までかごに手を出すのを避けてきた。可愛いかごにハマると増やしてしまいそうだし、手放すのにも一手間かかる。そんな思いをのりこえて、いろいろなところに出かけるたびにかごを探した。

しかし、思った以上にいいかごというのは見つからない。いろいろ見てみるが、本を傷つけないか、大きすぎないか小さすぎないかなど考えると、決定打がない。

主に籐籠を見ていたのだが、転機はたまたま立ち寄ったIKEAで訪れた。私の部屋にあった色調のグレーが貴重+木材の取手のやわらかい雰囲気の金属カゴが売っていたのだ。大きさもちょうどいい。値段もお手頃だ。

しかし、よくみるとたくさんのカゴのなかでグレーは1つしかない。チャコールっぽい色味はあるけれど、私好みのブルーがかったグレーは1つだ。店員に聞いてみると、これが最後の一つだという。嵩張るけれど、これを逃したら後悔すると思い、その子を持ち帰ることにした。

ころんとしたかわいいラインと、ちょうどいいグレーは予想通り部屋にすとんと馴染んだ。満足である。もしこのかごがたくさん並んでいたら、また今度でいいかと後回しにしていたかもしれない。

でも、大手だっていつまでも同じ商品を売っているわけじゃないんだよな。幻の逸品になることもあるよな。大きな店でも小さな店でも、「あ、これいいな」という自分の感覚、大事にしてものをえらびたなぁ。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ