大人なら、自分の機嫌は自分でとれ。
言わんとしていることはわかるけれど、個人的にはあまり好きではない言葉だな、と思う。どっちかというと、割と気分のアップダウンは強い家族に育てられ、私自身も長い間「もっと感情の波が少ない人間になりたい」と思ってきた。
世の中には、機嫌のアップダウンがない人のほうが成熟しているという雰囲気すらある。でも、それって本当に大人なの?
たとえば、私のある1日を考えてみよう。
・朝、天気がいいので、気持ちよく目覚める!(幸せ〜)
・通勤中、知らない女の人にすれ違いざまに叩かれる(おーい、なんなの!?)
・午前の打ち合わせがいい感じに進んで気分がすっきり(嬉しい!)
・昼休み、SNSで思いがけないショックな情報が届く(がーん……)
・夕方、取材が面白すぎてテンション爆上がり!(ワクワク!)
・夜、帰宅して受け取ったメールでコンサートの落選を知る(あ〜〜ああああ〜〜〜〜)
外から飛び込んでくるあらゆる刺激で、機嫌は簡単に変化する。あらゆる場面で、心が動かないことは私にとってはやはりヘルシーではない。喜怒哀楽は大切にしていいし、感情はなくすことができない。
そういう前提になると、大切なのは自分の感情の波で他人を動かそうとしないことなのかな、と思う。もし慰めてほしかったりしたらむっつり黙っているのではなくて、「慰めてほしい」と言葉にするほうが大切なのではないだろうか。
そして周りにいる側は、他人の喜怒哀楽に振り回されなくてもいいのだ、と心得ておくことも大切だ。他人の機嫌なんて、絶対にコントロールできない。急に変わる天気のようなものだ。もちろん、びっくりするけれど、自分も心は変わるんだから相手の機嫌だって、知らない間に変わっていくはず。
もちろん変わりやすさには個人差があるけれど、ただの個人差だ。自分の喜怒哀楽は味わう。でも、他人の機嫌は天気みたいなものだから、その人に向き合ってもらう。機嫌なんて、そんなものでもいいのかもな。