だめなものはだめ、と

主演女優から要望されたインティマシー・コーディネーターをつけなかったことで話題になった、映画『先生の白い嘘』の原作漫画を少し読んだ。そもそも、作品を知らないのに言えることはなにもないと思ったから。

一言、重い。まだ途中までしか読んでいないけれど、作者と主人公の怒りを感じている。強い怒り。よく、こんな作品が描けるな……すごい……。最後まで読むのには本当に心身のエネルギーが必要な作品だな、と思う。読み終わったら感想も書きたい。

一連の出来事の中で、一番印象に残ったのは、漫画家・鳥飼茜さんが初日舞台あいさつに寄せた言葉であった。

問題は最初から信念を強く持ち合わせていなかったことではないでしょうか。私も出版社も含め、製作した者たちがあらゆる忖度に負けない信念を、首尾一貫して強く持たなかったことを反省すべきだったのではないか。このことを私が今、私自身に痛感しています。

『先生の白い嘘』初日舞台挨拶にてプロデューサー&監督謝罪 奈緒らキャスト全員が思いのたけを語る | cinemacafe.net

そうだ、本当にそうなんだ。

インティマシー・コーディネーターは日本に2人しかいないという情報もあった。確かに人材不足があるとはいえ、こういう作品こそやっぱりインティマシー・コーディネーターを必須として制作してほしい。

大人の事情があるのは分かる。でも、だめなものはだめなのだ。止めるときは、ちゃんと止めるのだ。だめなら離れるのだ、それがどれだけ大きな流れであっても。

どちらかというと、私は大人の事情を汲んでしまうタイプである。その自覚があるからこそ、コンテンツ制作業界に身を置くものとして、心に刻んでおかなくては。NOならば、それはNOなのだ。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ