読んでいる本はとっている食事のようなもので、私たちの心と体にいろいろな変化をもたらす。私は定期的に、韓国発の本を読んでいて、それは大体においてフェミニズムの本である。
その火付け役となった『1982年生まれ、キム・ジヨン』の文庫本を最近は手に取った。単行本が出た時にも読んだので、数年ぶりの再読である。この本を読んだ時に感じる、色々なちょっとした言葉や経験を思い出す、ピリピリとした感覚は健在だった。私も社会の中に生きる当事者であることをやっぱり突きつけられる。
しかし前回と比べて、私自身の年齢も取り巻く環境も変わっていて、その分、たった数年でも読後感が変わった。やはり仕事に関するトピックから、結婚・出産後の世界に目が向いた。年齢の条件や、妊活に関する仕事をしていることなどの影響が大きい。
私はずっと妊娠・出産が自分を社会的弱者にしてしまうのではないか、と恐れている。せっかくここまで、こんなにも私の人生を頑張ってきたのに全てのチャンスを失ってしまうのではないか、と。(もちろん、弱いままで生きていけない社会構造に問題があるけれど、実質的にちゃんと生きのびる戦略が必要だと思ってしまうのだ)
一方で、社会からのプレッシャーだって無視できないし、体力面から逆算してしまうこともある。あと、これまでの人生の大半のことがそうだったように、やってみたら楽しいのかな?とも思うし、今までの自分の延長線上で生き続ける未来にはちょっと飽きている気もする。
不思議な世界だけれど、そうやって多くの人が悩んできたんだろう、通ってきた道なんだよなぁ。私の答えを見つけるためには……など、ぐるぐる考える。こういうことを、ずっと、考えさせられるのは負担である。
最近、35年以上福祉施設を運営している方に話を聞いた時、「ぐるぐる考えればいい」と言われたのを思い出す。そう、考え続けるのはつらいし、疲れる。でも、まあ、そんな簡単な問題ではないから仕方ないのだ。その時、取材をした方はまるで達観した仙人か哲学者のようだった。考え続けることで、人はそんなふうに変わっていくわけで。
仕方ない、もうちょっと考えるかぁ。幸い、まだ時間はある。