「枠」のちから

この仕事をしていると、「私が取材に伺いに行った方がテレビに出てる!」ということが度々起きる。そういう場合、もしかしたら知ってもらうきっかけになったのかなぁとも思いつつ、楽しく拝見している。

もちろん、テレビというのはプロフェッショナルが作っていて、かなり高確率で面白く、そしてハイクォリティにできている。

しかし、テレビとネット。もちろん番組によって見せ方が全然違うのはわかっているのだけれども、同じ人の話を聞いているのに、あまりにも違う展開や雰囲気になっていて、びっくりすることがある。そうか、この番組だとこういうところを強調するんだ……、みたいな。

テレビ番組には、強い「枠」というか、自分たちのスタイルに寄せる力がある。私自身、コワーキングスペースの仕事でいくつかテレビの制作側に協力したこともあるので、その「枠」の強さはわかっているつもりだが、それでもアウトプットを見ると驚くのである。場合によっては、枠に負けないようにしないといけないときもある。

オウンドメディアにも枠がある。それは、メディアのタグラインだし、作りたい文化だったりする。それを理解した上で、取材対象者に光を当てるのが編集者の役割だ。でも、大体の場合、その枠はテレビ番組よりもゆるい。そういう状態で外部の編集者に渡されると、やっぱりある程度、編集者の個性で隙間を埋める必要がある。

個人的にはメディアの運営側はある程度の枠を作ってから、外部の製作者に渡すべきだと思う。けれど、オウンドメディアの場合、クライアントの内部にいる人はメディアづくりのプロではないことが多い。となると、やはり外部から入って、枠を一緒につくっていくことが大事なのだ。

ちなみに、私が枠を作ると、どうしても真面目な雰囲気になる。そういうパーソナリティだし、元広報なので若干守りに寄り気味なのである。でも、それが企業メディアでは必要とされている面があるから、案件を継続してもらえるんだと思っている。オウンドメディア編集のバランス感。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ