「これから、『普通の人生を歩んでいない』というコンプレックスと戦わないといけないと思う」
人生でマイノリティー寄りの選択をすることになりそうな人がこのセリフを言ったのを聞いた時、人生への向き合い方とはかくも人によって違うものなのか。普通の生き方を望む人というのは、私が考える以上にたくさんいるんだろうな、とぼんやり思った。
他人と違わないということは多数派でいられるということだし、安心できるんだろう。でも、どう頑張っても私にはその「普通」がまったくピンとこないのだ。普通なんて、存在するのか、神話のような存在に思えてくる。私の学生生活は普通だったのだろうか、家庭は普通だったのだろうか、就職は普通だったのだろうか。
そうやって考えていくと、私はオリジナルの人生をつくりたい、という思いが強いのだと気がついた。常識や他人の目線ではなく、私が満足できる私だけの生き方がしたい、と思っている。こうやって整理できたら、なんとなくスッキリした。
私はこれからも、「普通の人生が歩みたい」人の気持ちはわからないと思う。でも、そういう人がいることはよくわかった。他者と違うを認めることは、対話の入り口になる。まずは、違いを知ることが一歩目なのである。