勇気をもって見守る

担当案件は継続のものが多く、全く手離れしない。平気で5年くらい続く案件もあり、本当にありがたい限りである。

だが、会社の中で特定の案件を1人で担当し続けることには問題もある。たとえば、マンネリ、そして属人化。万が一、私が事故にあって入院などしたら残されたほうはなかなか大変なことである。

そう思うと、やはり会社というチームで対応する以上、担当者は少なくとも数名いて、知識が共有されている状態にした方がいい。

そうなると、難しいのは役割分担である。案件引き継ぎのときには、お金の流れ、関係者、媒体の目的と運用方法を整理している。しかし、特に運用はかなり複雑化しやすい。

もちろんマニュアル的に全部書き留めることは可能だが、次の担当者がそれを頭に入れて同じトラブルが起きたときに反射的に思い出せる可能性は低い。読んだ本の知識を全て活用できないのと同じだ。

まあ、そうなると結局は一緒に担当する中で覚えてもらうしかない。大枠を伝え、自分でどんな問題があるか、何をすべきかを考えてもらう。なかなか難しいが、とにかく手と頭を動かしてやってみるしかない。「自分に任せられているんだ、自分がやらないといけないんだ」という感覚をもってもらうことが必要なのである。

そのためには、いつまでも前任者が出張っていてはいけない。もちろん最後に責任をとったりなんとかするようには見ているが、いい感じに手を離し、見守ることが必要だ。

これは勇気がある。ともすれば自分のこれまで築いてきた信頼や信用を崩す可能性もあるわけだから。でも、必要だからやるのだ。そして、きっとそのフェーズなのだ。

まあ、最初からお互い完璧じゃない。引き継ぐ方も、される方も。だから、焦らず。でも、勇気をもって。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ