「大切にされること」で心が回復する

なにげなくライターさん同士がしているのを聞いていたら、「編集者さんのコミュニケーション力はすごいよね」という話になった。別に私に向けた話ではないけれど、よく考えると編集者は非常にコミュニケーション能力を問われる仕事である。

クライアントとの指示を明確にライターに伝え、取材先と交渉をし、現場を仕切り、関わる人がみな気持ちよく仕事ができるように全体を動かす。私自身も完璧にできるわけじゃないけれど、たしかにコミュニケーション力はかなり重要かもしれない。

私はコワーキングスペースの運営者もやっているので、こちらもコミュニケーション力が問われる。ある程度、ちゃんと気持ちいい場をつくりたいと思うからこそ頑張っているが、たまに疲れてしまうのは、「他者のもてなし疲れ」なのではないか、と仮説がたった。

他者を大切にするのには、エネルギーがいる。無償の愛が当たり前ではないのだ。「この人は好きでやってくれている」わけではない。仕事にとって大切だと思うからやっているのだ。これがおそらく感情労働というやつなんだろうな。

過去に交流企画をやったとき、運営として頑張っているから、とお花をもらったことがある。あの時は、まさかそんなふうに労ってもらえると思わなかったので、本当に泣きそうになってしまった。

だから、もてなすのもいいけど、たまにはもてなされたい。企画をするのもいいけれど、私も何も考えずに楽をしたい、みたいな。だから、お客さんを大切にしてくれる劇場や喫茶店へ行くんだろうな。愛は無限だと思っているけれど、私もたまには露骨に大切にされたいのである。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ