喜怒哀楽を味わう人生を送るために

思いがけない人生のよろこばしい報告を聞き、ぱっと場の雰囲気が変わった。その瞬間は、リアルでもオンラインでも変わらない気がする。おめでたことは、おめでたい。

人生はそれぞれ全く違う。でも、世の中にはイベントごとがたくさん起きるアップダウンのある人生と、もう少し平坦な人生を送っている人がいるように感じる。もちろん、周りから見えないだけで全員が波を乗り越えてきているのだが、明らかに急な波に揉まれる人たちがいる。この喜怒哀楽に溢れたライフイベントの激しさの違いは、運命だけが作り出すものなんだろうか。

考えてみると、たくさんの出来事が起こる人は、異なる立場の人と濃く繋がっているのではないかと思った。

たとえば、子どもがいる家族といない家族では、起こるライフイベントが全く違う。全く違う業界で働くカップルのほうが、例えば転勤とか会社でのトラブルとかも含めて、起こることが全く違うのだ。ちょっと知り合いにいる……という話ではなく、家族レベルの濃い繋がりでないと、自分の人生まで影響は受けない。

また、新しいことに次々と挑戦するのも大きな要素だ。一つのジャンルで同じことを繰り返しているだけでは、大きな変化はやってこない。時代や流れに合わせた新しいことに挑むからこそ、変化が起きている。

先日亡くなった坂本龍一氏も、がんが見つかってから「本当にやりたいことにしぼる」という形で、生活音を使った音楽づくりやスマホなどを使った若者との音楽ワークショップにも取り組んでいたという。シンセサイザーを導入するなど、若い頃から先進的な取り組みをし、自らも俳優として映画に出演するなど、さまざまな挑戦を重ねてきた坂本氏。

私はあまり詳しくなかったのだが、この機に組まれた特集を見て、音楽を聞くと人々が魅了されていった理由がよくわかる。ある芸能人の方は、氏に対して「いろいろあったけど、やりきったよねと言いたい」という趣旨の発言をしていた。まさに最期まで、過去にとどまらず新しい形で音楽に向き合っているのが本当に印象的でした。(……そういう人が才能があるのだ、とも言える)

立場の違う人と濃い関係を結ぶこと、自ら新しいことに挑むこと。喜怒哀楽を味わう、豊かな人生を送るヒントを考えてみた。坂本龍一さんのご冥福をお祈りします。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ