倍速再生という違う角度の見方

大学生の頃、映画をほとんど観なかった。単純に映画館が高いのと、自宅に鑑賞しやすい環境がなかったこともあるが、シンプルに長くて苦手だった。大人になってからは、サブスクの動画サービスがうまく使いこなせなかった。結局、登録はしていてもあまり観ないのである。

でも、最近は気分に合わせて、宝塚歌劇といった舞台作品や映画、そしてドラマもちょっと観られるようになった。その理由は、倍速再生である。また、コスパ・タイパの話か……、と思われるかもしれないがちょっと違う。

ミュージカル作品は、重要なことを歌で表現する。すると、歌をよく聴かないといけないのだが、ゆっくり伸ばしながら歌われると実際のところ、何を言っているのかよく聞き取れない。それが、1.5倍くらいにすると急に日本語としてするっと入ってくるのだ。

これは歌だから……というのもあるが、私の耳がその速度に慣れているんだと思う。実際に、5年ほど前に実際に劇場で観劇した舞台の映像を少しスピードアップして見直してみたら、さらに理解が深まった。もちろん、複数回観ているというのもあるのですが。

この経験から、個人にとって頭に入ってきやすい、最適な速度というのは存在するのだなと思っている。実際、私は普段からかなり早口なほうなので、ちょっとペースが速いのかもしれない。

芸術鑑賞において、倍速再生をするというのが理解されないこともあるし、もっとゆっくり作り手の意図を楽しめよ……という話もあって、そりゃそうだよねと思う。でも、理解しやすい環境を作ってそこで違う角度の理解ができるならば、それも一つの鑑賞方法ではないだろうか。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ