学ぶ場ではなく、お化け屋敷?

目黒にある寄生虫博物館に初めて行きました。戦後、食糧難に苦しむ日本人。さらに寄生虫にやられてなけなしの栄養を持っていかれていたらしい。そこで、当時医者をしていた創立者が私財を投げ打ち、普及啓発のために作ったのがこの博物館だそう。2022年にはビル・ゲイツが訪れた事でも話題になった。

怖いもの見たさ……というのもありますが、これだけ話題とインパクトがある施設なのに、意外と入ったことがないのが気になっていたので、実際に訪問できてとても嬉しかった。施設は2階建てで、ゆっくり見ても1時間程度だろうか。

展示を見て初めて知ったのだが、アニサキスなどとの戦いはまだ続いているとはいえ、人体に有害な影響を与える寄生虫は案外少ないらしい。とはいえ、生の食べ物を食べるのは結構怖いんだな……とよく理解した。改めて、生魚というのは安全な食環境であることを、ある程度信じられるから成り立つらしい。

桜の名所である目黒川の近く、かつ週末の午後ということもあって、館内は混雑していた。興味深いのはとにかく若いカップルが多いことである。これは、なぜなんだろうか?

見てみてわかったのだが、寄生虫博物館はもちろん学ぶ要素はたくさんあるのだけれど、ちょうどいい気持ち悪さというか……、各種の標本はエンタメとしても消化できる範囲で刺激的だ。また、デート合間にコンパクトに回ることができるサイズ感なのもよい。

一般的な博物館は、とにかく年配の人が多い。いわゆる学習施設だからだと思う。あと、丸一日かけて回れないほど巨大だったりする。そうなると、軽い気持ちでは遊びに行きづらい。

そう思うと、もしかしたら寄生虫博物館はデートスポットとしては博物館というよりも、「お化け屋敷」に近いのかもしれない。カップルで行って、一方が怖いといい、一方が冷静に楽しむ。そこにコミュニケーションが生まれる。もちろん、ここにきている時点でそんなにこういう標本が苦手……ということではないんだろう。

ストレートで真面目なテーマの施設なのに、なぜかエンタメ性があるというのはなんとも興味深い。こういう場所は、寄付じゃなくて、お金とってもいいと思うけどな。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ