自分にとっての価値、他人にとっての価値は違う

今日は物事に取り組むときに、自分にとっての価値を考えることの大切さを感じた話を書きます。

私はこの数年、カットモデルをやっています。つまり、まだスタイリストとしてデビューしていない駆け出しスタイリストさんの練習台として、髪を切ってもらっているのです。料金は無料から2000円程度。私はやりませんが、カラーリングも実費でやってもらえます。

これを言うと、「カットモデルなんてめんどくさくない?」「ひどいことになったら最悪じゃん」のようなリアクションをもらうことがあります。

この反応を見るたびに、「髪を切ること」に求めるものが全然違うんだなぁと感じていました。

私がカットモデルを始めた理由

カットモデルになったのは、社会人になって東京に住み始めた頃から。当時の私はまだまだお給料が良くなく、東京の暮らしにもなれず、貯金もない状態でした。

その頃から私はショートヘアだったのですが、東京の美容院代が高く、経済的な負担担っていたのを感じていました。

新卒1年目のある日、美容院に行くと、担当になったのが私よりも若い方でした。もちろん、デビュー後なので一生懸命やってくれているのですが、「そういえば、私が1年目であるのと同じように、美容師にも駆け出しの方がいるんだよな」と思い、検索した結果minimoというカットモデルマッチングアプリを見つけ、使い始めたのです。最初のモチベーションは、間違いなく「節約」(笑)。

そこで、ドキドキしながら調べて無料カットモデルに応募したら、自分の目から見ると全く遜色がない! その後も、何度か続けるうちに、カットモデルには「私が美容院に感じていた不満」を補うポイントがあるのに気がついていきました。

私がカットモデルを続けちゃう理由

節約以外にも、私はカットモデルにいろんな魅力を感じています。

理由1:遅い時間でも予約が入れられる
そもそもカットモデルは研修ですから、多くの場合、営業時間外に行われます。なので、平日19〜20時にスタートすることもあります。すると、平日の仕事後にも余裕を持っていけるのです。さらにシャンプーしてもらうと、夜そのまま寝られます。美容院のために、休日を使うのはもったいないな〜と思っているタイプなので、うれしい!

理由2:自分の髪や骨格について情報がもらえる
担当のスタイリストさんがカットをしたあと、先輩スタイリストさんがチェックをしてくれます。そうなると、「この人の髪質は〜」「骨格は〜」というのを解説しながら、アドバイスをしてくれます。私に話しかけられているわけではありませんが、聞いていると結構面白い。

ちなみに、私の場合は
・超直毛で髪は強い
・頭の形はとてもよい
・襟足の生え方が独特で、跳ねちゃうので襟足カットに注意
らしいです。へー! この情報、どの美容院に言っても自己理解の役に立ちますよね。

理由3:一生懸命な人の姿に元気をもらえる
カットモデルに行くと、絶対に一生懸命な人に会えるんです。

過去にスタイリスト試験のためのモデルをやったことがあります。結局、その日は不合格だったのですが、若いスタイリストさんの一生懸命さ、そして悔しさをにじませながらも、お客様(私)にはプロとしてしっかりと接しようとする姿に、かなりぐっと来まして……。「頑張って! 私でよければ何度でも協力するよ!」と言いそうになりました。(試験モデルは1度しかできません。笑)

「自分にとっての価値」を考えよう

整理してみると、私が「美容院でカットモデルをすること」によって得られているのは、「節約」「便利な時間にいける」「好奇心を満たす」「応援したい気持ちを満たす」など。

これは一般的な美容院に行くモチベーションとは結構違うのかなと思います。この背景には、あまり見た目に対する執着がない、ヘアアレンジに全く情熱がない、あまり複雑な髪質ではない……など、私個人の事情があります。

もちろん私も、結婚式に出るときにはセットをしてくれる美容院に行きますし、もっと見た目が重要な職業につけばカットモデルはやめるでしょう。

しかし、自分が求めるものが言語化され、ある程度整理されているからこそ、カットモデルを続けるという選択に迷わないのだと感じます。

同じ行動をする場合も、人によって意味や価値は違うはず。特に何度もやることや家計に大きな影響を与えるものについては、「これって私にはどういう意味がある?」を問い直してみると、違う視点や異なる取り組み方が見つかるかもしれません。

美容師になりたい人がいる限り、カットモデルは必要とされています。特に東京などの都市部は需要が多いので、もし興味を持った人がいれば一度試しに行ってみては?

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ