あけましておめでとうございます。今年も心地よく、すこやかに自分らしく過ごしたいと思います。
2021年の観劇初めは、1月2日(土)月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』『ピガール狂騒曲』。
本公演はすでに大劇場(初舞台生公演)と東京ですでに1回ずつ観ていたのですが、大千秋楽直前になるとやはり「大進化!」を感じました。
●松本悠里先生が宝塚で刻んだ輝き……『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』
雪月花をテーマにした日本物レビュー。宝塚歌劇の伝統である「洋楽×日舞」の魅力を詰め込んだ植田紳爾先生の作品です。
雪月花、どの場面も素晴らしく美しいのですが、個人的に圧倒されたのは中詰の「月」の場面。静かで美しく、荘厳。特に後半の斜めのフォーメーションと照明の使い方を見ると、出演人数が減っていることを全く感じさせられませんでした。また、銀の扇と舞台装置(おそらく吊り物)がお互いに光を反射しあい、舞台全体が生き物のよう。
また、松本悠里先生による「雪」の場面。ヴィヴァルディ「四季」の「冬」で踊る日舞は、純粋な美の結晶として、うっとりと見とれてしまいます……。
宝塚歌劇を見始める前の私にとって、日本舞踊は遠い存在でした。ハイコンテクストで、何を表現しているのか分かりづらい……。しかし、松本先生が「日本舞踊は台詞のない芝居」(抄訳)とおっしゃっていたのを聞き、そうかと合点がいったのです。それ以来、この動きは何を表現しているのだろうと、オペラグラスを観ながら考えるようになりました。観劇経験を重ねると、少しずつですが分かることが増えてくるようになりました。松本先生のご表情、とても好きです。
「舞台人」として何十年も芸を極めたプロフェッショナルの姿、さらに去るその瞬間をこの目で見るという経験は、これからの私の人生の中でめったにないでしょう。
スカイステージの特集で、退団は急に決めたことなのだと聞きました。しかし、松本悠里先生が思い残すことなく、宝塚歌劇の舞台に多くのものを置いていってくださったのを感じました。これからも日舞を観るたびに、松本先生のことを思い出します。
●最後まで進化しつづける『ピガール狂想曲』
そして後半の『ピガール狂想曲』。芝居一つひとつのテンポのよさ、アドリブのバリエーションの豊富さ。どの回も違う内容で笑ってしまいました。
さらに、ビジュアルにも磨きが! 特に、入れ替わり技術の見事なことと言ったら。3回目の今回は、珠城りょうさんと影の役を務められた蒼真せれんさんがどう入れ替わるか観ていたのですが、スピード感はもちろん横顔が本当に似ていてびっくり。
原田諒先生の脚本も素晴らしく、入れ替わりのストーリーやユーモアのセンスも含め、宝塚歌劇オリジナル作品の中ではかなり好きな作品でした。ただ、「それでいいのさ!」を「それでいいのよ!」と言い換える最後の台詞によって、直前のガブリエル(美園さくらさん)の台詞が打ち消されてしまっているので、もったいないなと……。
女性のみで構成されていることから、ほかの芸術以上に「ジェンダー」について考える機会が多い宝塚歌劇。ただし、観客の目当てが「男役」に集中するため、どうしても「男役」を立たせる必要があるという難しい矛盾をはらんでいます。
そのあたりをこれからどう扱っていくのか……。宝塚歌劇の進化を楽しみにしています。
●祝・20周年! 東京宝塚劇場
今回、幸運なことに東京宝塚劇場リニューアル20周年記念の展示&記念品をいただきました。エコバッグ! タカラヅカはエコバックをたくさん作っていますが、初めてゲットしました〜! とてもうれしい! 忙しい中でも用意をしてくださった歌劇団、そして客席に貼ってくださったスタッフさんにも大感謝です。もったいないですが、大事に使います。
さらに、友の会カードでの入場でもらえるチケットがレシートのような薄いものから、しっかりとしたものに進化していました。今は仮デザインの模様。これもちょっとレアですね。
そして、お正月飾り、20周年の解説。さらに、この20年の間に月組が行った公演ポスターと主演の写真がロビーの柱にたくさん掲示されていました。スカステで観た公演も、じっくりとポスターを眺めるとすごく楽しい! でも、騒いではいけないので、静かに見つめます……。
ちなみに、お向かいにある日比谷シャンテの4階でも1年にわたって展示がされるそうです。劇場内は組単位、シャンテは公演時期単位と少し内容が違うので両方を要チェックですね。
最近は、プログラムを買う時にキャトルレーヴで「クレジットカードでお願いします」、前を通るときに「失礼します」しか言わない無言の観劇を続けています。
良い観劇初めができた2021年。どうか、次の公演も無事に大千秋楽を迎えられますように。