夕方、ちょっと驚いたことがあった。NHKの朝ドラ『虹を織る』が一部放送されていたのだ。1980年度後期に放送された朝ドラで、地方で剣道をやっていた少女・「佳代」がたまたま関西旅行中に宝塚歌劇を見て、タカラジェンヌを目指すというストーリーである。最終的には、「歩」という子供に恵まれるらしい。
私はこの作品の存在を知った時、とても驚いた。地方・剣道・「佳代」という名前(文字も含め)・初回で宝塚歌劇に惚れ込むこと・そして「歩(私の高校時代の活動名である)」。
これは、もう一人の私……?? この要素だけで私は(かなり勝手かつ強引に)強いシンパシーを感じてしまったのだ。
舞台は戦前、ざっくりしか書かれていないあらすじの情報を見るに、結局は戦前・戦中・戦後の宝塚歌劇が置かれた過酷な状況の中で、新聞記者と恋に落ちて「佳代」は退団をするらしい。
おいおい、もっと詳細を頼むよ……。見たいよ、この作品。芸名は何になったんだ、結局男役なのか、娘役なのか? そしてこの頃の宝塚歌劇の状況ってどう描かれてるの……? 見たい。さらによくwikiを読むと、友人の叔母様(元タカラジェンヌ)も出てるじゃん! めちゃくちゃ見たい! でも、ネタバレを読みすぎるのは嫌!! 見たい!
しかし、調べてみるとどうやらNHKアーカイブスにも映像はないらしい。残念……。これは再放送を待つしかない。放送されたら、「佳代」という主人公に思い入れをしまくって、自己投影をしまくって、タカラジェンヌ気分で最初から最後までガン見するんだから!! 再放送、お願いお願い〜〜!
という精神状況だったので、夕方のニュースで少しでも映像が取り上げられていたのに大感動してしまった。このまま本編の再放送までしてほしい、お願い!!お願い!!
ふう……。それにしても、この朝ドラの「佳代」と私の運命の分かれ道は「音楽学校が受験できる年齢までに一度でも宝塚歌劇を観たかどうか」なんだろうな、と思った。もちろん、受かるかどうかなんてなーんにも知らないよ。というか、私の身体能力などを考えると難しいんだろうけど。
自分の人生を10代に戻ってやり直せるなら、もっと若い頃に宝塚歌劇に出会いたかった。タカラジェンヌにはなれなくても、せめて今の仕事の延長線として脚本家を目指すとか、そういう道を選んだかもしれない。
結局、私は新卒のカードを切るときにも、まだ宝塚歌劇には出会わなかったのだ。不運というか……、逆にこれは巡り合わせなんだなと思えてくる。だって出会っていたら、すべてを振り切るほど夢中になっていただろうから。それが怖くて避けていたのかもしれない。
そーんなふうに人生のifを考えながら、「でも、今の自分の人生が好きだからいいや〜」へ立ち返る私なのでした。でも、パラレル「佳代」の人生を楽しみたいので、『虹を織る』はいつか絶対に見たい! NHKさん、お願ーい!!