人生は出会いと別れの繰り返しだ。なんて、切ないんだろうか。永遠の関係なんてない。宝塚歌劇を見ていると、美しい人々が一瞬の儚い時間を情熱で燃やし尽くす姿と、組織や文化が自分の寿命よりも長く連綿と続いていく姿を同時に体感できる。
不思議だ。私の応援している人は、煌めきの中で去っていくというのに。人が入れ替わりながら、その組織が維持されるというのがいかにすごいことなのかを痛感する。淡々とした仕組み、文化、人から人への伝承。限られた人にだけ伝えられるからこそ生まれる責任。
ひとりの人間が、一体どれだけのものを背負うのか。なんという重圧なのだろうか。実際に、その「羽根の重さ」を背負える期間は短い。背負い続けるのはしんどい。それでも、それでも最後までやり通す。世界的な感染症が流行っていても。
100年以上の伝統ある組織のバックアップはあるけれど、矢面に立つのはあくまでもたった5人の個人なのだ。宝塚歌劇のトップスターというのは、本当にすごい仕事である。十何年もかけて、歩んできた自分の道。その最後の1日が、幸福に溢れることを願って。