待つだけでよくなる

パッケージの説明に書かれているとおりにお茶を淹れたら、とても美味しかった。はたして、これまで飲んでいたのはなんだったのだろうか。そのお茶は蒸らしの時間が8分ほど必要で、飲みたくて準備をしてお湯を沸かして、さらに8分待つと考えると……、正直とても長い。

私は待つことが苦手である。決められるならば早く決めたいし、なんとなく動いていたい。作業をしているときも、テレビ番組やVoicyを聞いている。というか、逆に聞き始めると動く気になるということもある。食器洗い面倒だけど、聞いてる間ならいいか、みたいな。

編集者は本当に幅広い知識を求められる職業で、インプットがそれなりにあるに越したことはない。けれど、やっぱりそれをずっとやっていると、どこかのタイミングで疲れてしまう。私にとっての疲れの合図は、いつものスピードで音声が聞き取れなくなったときだ。

そういうときこそ、レシピとかお茶を淹れる目安時間を意識的に守ってみる。待つのが苦手だけど、おいしいものというのは自分を動かすトリガーになる。どうせ食べるのだ、飲むのだ。おいしいほうがいいに決まっているではないか。

待つのだ、待つこと。待っているだけで、世の中には良くなることがたくさんあるのだ。何もしなくていい、むしろすると悪くなる。だから、忘れているくらいでもいいのかもしれない。

ああ、今年こそ、梅シロップを漬けたいな。青梅、大好きなので。まさに待つことなんだよなぁ。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ