真っ白なお皿に、ひかえめに入る黄金の一筋。ノリタケの7050ゴールドラインの上に、コバルトブルーの液体、そして真っ白な花が咲いている。ロングスプーンを跳ね返す孤高の氷菓の花をゆっくりとすくい取り、口に運んで溶かす。
ああ、贅沢。お酒を飲まない私も楽しめる店を教えてもらう、京都の夜。もっと夜喫茶が流行ってほしいよう。
人と人との距離が遠くなったという表現をよく聞く。誰かに無理やり何かを強要するのはもう流行らない。コロナもそうだし、ハラスメントとか色んな理由があるだろう。私も、年齢が上がるごとに、周りに気を使うことが増えている。
「もっとぐいぐい来てほしいんだよね、遠慮なくさ」
だから、そう言われたときに「そうなんだ」と意外に思った。でも、それはすごくよく分かる。年上とか立場とか、いろんな要素で遠慮してしまう。相手は懐が深いとわかっているのに。
でも私の場合、もう一方では、ぐいぐい行き過ぎて心に刺さる言葉で傷つけてしまうこともあった。私自身が限界に達していたという心理状態的な背景もあったが、まあ傷つけてもいいことは何もない。
近間、遠間。なぎなたに当てはめてみると、間合いがピッタリと合うのは、お互いに正しく、自然な身体の使い方をしたときだけである。正確な体捌き、力みすぎない打突、気剣体の一致。
人間関係も、もしかしたら一つひとつの行動がずれていて、その結果として人の心の距離がずれているのかもしれない。ああ、難しいな、難しい。でも、もっと遠慮なくいっていい、と言ってもらえるのはありがたい。遠慮なく、やっていきます。