歴史に苦しみ、歴史に支えられる

宙組公演『Le Grand Escalier -ル・グラン・エスカリエ-』(作・演出/齋藤 吉正)を観に行きました。私は 『Xcalibur エクスカリバー』がチケット取れずで観られなかったので、宙組さんに会うこと自体が1年ぶり。ああ、長かったね……。

東京公演はまだ始まったばかりだし、ほぼネタバレなしでドキドキしながら開幕。事前情報は、タカラヅカの名曲ということだったけれど、文字通り。吉正先生の作品を知っている人ならば、誰でも楽しめる。

ザッツ・レビュー、BLUE・MOON・BLUE、ゴールデン・デイズ、花詩集、CONGA!!、ダル・レークの恋、ノバ・ボサ・ノバ、パッショネイト宝塚!、サザンクロス・レビュー、哀しみのコルドバ、エクスカリバー、シトラスの風……。

宙組の持ち歌でも、先生の持ち歌でもない。他の4つの組から、宙組にパワーを集めて送っているような構成でした。タカラヅカは一つ、私達は歴史に支えられている、絶対に宙組を手放さないし、宙組はタカラヅカの歴史の一つ。……そんなメッセージが感じられ、涙腺が緩んでしまいました。

もちろん、どれだけ美しいなと思っても、頭の中ではすでに起きてしまった悲しいことは変えられません。心からのご冥福をお祈りします。関係者全員が、驚くほど泣いたり悩んだりした1年だったんではないか、とお察しします。

あれだけの舞台をつくるのは、本当に大変なことです。だけれど、大変だから苦しい想いをしていいわけじゃない。長い歴史に支えられている一方、長い歴史のせいで歪みがうまれてしまった組織。タカラヅカがすべての関係者にとってより良い場所になっていくことを、ファンとして心の底から願っています。

有限会社ノオト所属の編集者・ライター/ コワーキングスペース「Contentz」管理人。 テーマは働き方・学び方・メディア・朝ごはん など / 休日は喫茶店と東京宝塚劇場をうろうろ